高濃度PCB廃棄物の確認方法と処理について

PCB廃棄物の概要については、こちらのページで説明しています。
PCB廃棄物は、高濃度PCB廃棄物と低濃度PCB廃棄物がありますが、今回は高濃度PCBについてまとめてみたいと思います。

高濃度PCBが使われている機器とは?

高濃度PCBが使用されている可能性のある機器は、以下の通りです。

  • 高圧受電設備(キュービクル)の変圧器とコンデンサ
  • 低圧コンデンサ
  • 蛍光灯や水銀灯、ナトリウム灯の安定器

では、順番に高濃度PCBが使われている可能性がある条件と確認方法を見ていきたいと思います。

高圧受電設備の変圧器とコンデンサ

製造年代と型式から判別可能で、以下の①・②の条件に該当するものです。

昭和28年(1953年)から昭和47年(1972年)に国内で製造されたもの。

②以下のページに記載されている型式に該当するもの
 一般社団法人日本電機工業会のページ

低圧コンデンサ

上記の、「高圧受電設備の変圧器とコンデンサ」と条件は同じです。

蛍光灯や水銀灯、ナトリウム灯の安定器

まず、昭和52年4月以降に建てられた建物に使用されている可能性はないと言われています。
※中古の照明器具等を後から取り付けた場合など、例外もあるようです。

建物が、昭和52年3月以前に建てられた場合…、詳しい確認方法は新潟県のHPに掲載されていますが、
管理人が勤務する会社でも調査を行ったので、その際に確認した方法を以下に記載したいと思います。

【確認方法】

以下の条件に該当するものだと、高濃度PCBを含有している機器の可能性があります。なお、安定器については、低濃度PCB機器というのは存在していないようなので、PCB含有=高濃度PCBということになります。

①蛍光灯器具については、業務用であること
 ※家庭用の蛍光灯器具(丸型の蛍光灯等)は対象外

②昭和32年(1957年)から昭和47年(1972年)8月までの間に製造された「高力率」の安定器がついているもの

まず、照明器具のカバーに、ラベルが記載されている場合、そこを確認します。

ラベルを見て、

・製造年が昭和49年以降
・低力率型と書いてある
・Hfと書いてある

場合、PCBが使われている可能性はありません。

また、消費電力/(電圧×電流)が50%~60%程度の場合、低力率型なのでPCBは使われていないと判断できます。
(例)

上の写真の場合、消費電力 12W/(電圧 100V×電流 0.23A)=52% (低力率型)
なので、PCBは使われていません。

器具のラベルからPCBが使われていないことが確認できない場合や、ラベルがない場合は、めんどくさいですが器具を外して中の安定器を確認する必要があります。

安定器にもラベルがついているので、そのラベルを確認して、安定器の製造年代が昭和47年8月以前かつ高力率型の場合、PCBが使われている可能性があるのでメーカーへの問い合わせが必要です。
メーカーの問い合わせ先は、日本照明工業会のHPに掲載されています。

なお、上記の条件に当てはまる安定器でも、「NO PCB」や「PCBは使用していません」といった表示があることもあるようです。

高濃度PCBはどこで処分できるのか。

高濃度PCBは、中間貯蔵・環境安全事業株式会社(JESCO)でしか処分することができません。

新潟県は、JESCOの北海道事業所で処理することが決められており、

  • トランス・コンデンサ(3kg以上のもの)→ 令和4年3月末
  • 照明器具の安定器や低圧コンデンサ(3kg未満)、汚染物(ウェス等)→ 令和5年3月末

となっています。この処理期限までに処理をしないと、行政から改善命令が課され、改善命令(処理しなさいという命令)に従わない場合、三年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金又は併科が処せられる可能性があります。

なお、高濃度PCBの処理には、補助金があり、中小企業(個人事業主含む)の場合70%から90%の補助、個人の場合95%から99%の補助を受けられるようです。

環境省HPより引用
・中小企業者(会社、個人事業主、中小企業団体等)
・法人(会社、中小企業団体を除く)

→収集運搬費用等及び処分費用の70%を軽減
(新型コロナウイルスの感染拡大による影響がある場合90%)

・個人
→収集運搬費用等及び処分費用の95%を軽減
(新型コロナウイルスの感染拡大による影響がある場合99%)

では、JESCOで処理をお願いするためには、どうしたら良いのでしょうか。それには、まずJESCOに保有している機器の登録をする必要があります。

  • トランス・コンデンサ(3kg以上のもの)→ 機器登録
    ※寸法や重量等を登録
  • 照明器具の安定器や低圧コンデンサ(3kg未満)、汚染物(ウェス等)→搬入荷姿登録
    ※JESCO指定の容器(蓋が閉まるドラム缶やペール缶)に収納した状態で寸法や重量等を登録

詳しくはJESCOのHPに記載されています。

また、高濃度PCB機器があることが分かった場合、新潟県や新潟市に届出を行う必要があります。

新潟県(新潟市内を除く)への届出→届出書など(新潟県のホームページ)

新潟市への届出→届出書など(新潟市のホームページ)

高濃度PCBについては、処理期限が令和4年末(安定器は令和5年末)と期限が差し迫っているので、該当する機器があった場合は、早急に県又は新潟市に相談する方が良さそうです。

JESCOの処理施設は、地元自治体との合意により、処理期限後の稼働予定はないようなので、場合によっては処理出来ないという事態が生じえます。処理期限が過ぎた場合行政代執行(行政が代わりに処理する代わりに、税金の滞納と同じように処理費用を強制徴収される。)となるようです。

処理には最低でも半年程度かかるようなので、見つかったら早急に対応する必要があります。

以上、高濃度PCB廃棄物の確認方法や処理方法についてまとめてみました。

なお、以上は、私が個人的に調べた内容をまとめたものであり、内容の正確性については責任を負えません。また、各自治体等によって見解が異なる可能性があります。

前の記事

PCB廃棄物とは?